歴史小説について語りたい〜その③

前の歴史小説ネタでは宮城谷センセを激推しした訳ですが。

 

大家と呼ばれる先生は他にもたくさんいて、

おすすめしたい作品は山ほどあるんですけど

今回は敢えて北方謙三センセについて書きたいと。

 

北方センセといえば、やはりハードボイルド小説なんですが、

齢40にもなろうかという私にとっては

何と言っても「試みの地平線」なのですよ。

 

あの伝説のナンパ雑誌HotDogPressにおいて

異質、を通り越して異次元の硬派フィールドを作り出し、

そして軟派と硬派の奇跡のアジャストを産みだした

あの神コラムです。

 

うるせぇ、ソープ行け。

 

このフレーズに何度、思春期の、

煩悩と苦悩に満ちた心をすくい上げられた事か。

 

さて、ご存知の方も多いかと思いますが、

北方センセは90年前後から歴史小説にも手を広げていて、

2000年に「水滸伝」シリーズを手がけ始めてからは

むしろ専ら中国歴史小説を書いているイメージです。

 

で、その中で今回オススメしたいのは

「楊家将」と、その続編「血涙」ですかね。

 

いや、勿論「水滸伝」も続編の「楊令伝」「岳飛伝」(未完)も

面白いんですよ。無茶苦茶に。

 

でも、ここで注意したいのが

歴史小説を書いても、そこは北方センセ、

ゴリゴリのハードボイルドな訳です。

 

かのチャック・ノリスも真っ青の強烈な男臭と、

西部警察の渡哲也も顔負けする男の悲哀が

二郎のマシマシばりのボリュームと油量で

読者の脳髄に注入されるのですね。

 

因みに「水滸伝」は全19巻、続編「楊令伝」で全15巻、

未完の「岳飛伝」で既に10巻ですよ。

 

北方ワールド童貞にいきなりこのボリュームは

酷です。

というか、自殺行為と言って良いでしょう。

 

その点、「楊家将」、続編「血涙」は共に上下2巻、

まさに適量。

 

且つ、文句なしの面白さ。

 

元々、「水滸伝」も「楊家将」も

有名な古典演義な訳ですけど、

これを北方センセが新しい解釈で壮大な歴史ロマンを

作り上げているんですね。

 

しかも「楊家将」「血涙」の主要登場人物の系譜

何気に、というかモロに「水滸伝」シリーズに繋がっていて、

芋蔓式にハマってゆくという。

 

因みに、私、ハマりすぎて

仕事サボってコレ読みまくってましたからね。

 

といったところで今日はこのへんで。

 

それではまた。